SHU'S MUSICNOTE 18 AL JARREAU グロウ/ GLOW

　本当に優しい人に出逢うと優しい気持ちになれる。
　アル・ジャロウ。顔を見ても、声を聴いても、自分の気持ちに素直に生きる素晴らしさを教えてくれる人。
　母なる大地、アフリカを感じさせられるパーカッシヴなヴォーカルテクニックで、ジャズとソウルを見事に融合したフュージョン・ヴォーカリスト。
　秋風を受けながら、柔らかい日差しの中で、高原の澄みきった空気を胸一杯に吸い込んで…的な、1曲目「RAINBOW IN YOUR EYES」。レオン・ラッセルのカバーとは思えない、軽やかなフェンダーローズと柔らかなリズムセクションが心地良い。トミー・リピューマとアル・シュミットの丁寧な音作りがアル・ジャロウの温かみ溢れる声に輝きを与えている(ジェイ・グレイドン プロデュースのアルバム [This Time] も必聴)。
　2曲目「YOUR SONG」、 エルトン・ジョンの超有名曲。しかしながら、アル・ジャロウバージョンの方が何故か心に響く。イントロのフェンダーローズとストリングスの絡みが琴線に触れる。3曲目「AGUA DE BEBER」、アントニオ・カルロス・ジョビンのボサノバの代表曲。「ダバダバ…」とまるでジャンベを叩いているかの如く歌う、アル・ジャロウのボーカルスタイルは唯一無二。声帯模写の神様、江戸家猫八師匠も顔負け?!(古過ぎ???)
　毎日の仕事が忙しくて、知らない間に神経がピーンと張りつめている時、この人の声に触れると、自然に緊張がほぐれてゆく。人を憎んだり恨んだりする心も、自分を戒め、人を愛する心へと変わってゆくだろう。
　いい音楽は地球を救うと信じたい。スティービー・ワンダーもアル・ジャロウもきっとそう願っている。



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